インバウンド(外国人旅行者)需要をどう取り込むべきか

これはどんなビジネスでも言えることですが、ターゲット層をどこに絞るかは大事なことです。例えば、ラーメン屋さんなら、若い男性を主要ターゲットにするならガッツリ食べれて、味はコテコテ、替え玉ができる、席はカウンター中心 というスタイルにするでしょうし、ファミリー層もターゲットとするなら、あっさりした味の選択肢があり、テーブル席、子供椅子や子供用の食器なども必要となるでしょう。

宿泊業も然り、カプセルホテルならほぼサラリーマンだけを対象とする男性向けカプセルホテルもあれば、女性のキャリアウーマンをターゲットとした女性専用フロアのあるカプセルホテルもあります。ホテルや旅館であっても日本人ファミリー層を中心に狙っているホテル・旅館もあれば、団体客(ツアー会社を通した老年世帯、学生のスポーツ合宿や修学旅行)をメインとしているホテル・旅館もあるでしょう。

その既成需要の中にインバウンド需要をどう取り組むべきなのかは、全ての宿泊業界にとって大きな課題であり、運営形態をどう舵取りするかの分水嶺になるでしょう。

インバウンド需要を取り込んだ時のメリット

外国人観光客は言わずと知れたとおり、海外から休暇をとって旅行にくるわけですから、1泊2泊だけの日本観光の人は極少数の近隣アジア諸国のみとなるでしょう。ほとんどのその他の国から来日する外国人は、1週間から2週間程度の長期休みをとって、日本各地を巡ることになります。

こちらのページを参考にさせて頂いたところ、外国人が日本に旅行する際の平均滞在日数は約7日らしいです。つまり、その滞在期間は平日も週末も含むわけなので、インバウンド需要を取り込むということは、日本人で稼働しずらい平日を稼働させるという最大のメリットがあります。

https://www.wasimil.com/blog/in-depth-analysis-of-inbound-tourists-spending-and-length-of-stay-by-country

 

インバウンド需要を取り込んだ時のデメリット

販売にあたっての労務コスト

海外からの予約を受け付けるには、当然海外で使われている宿泊予約サイト(OTA)で販売しなければなりません。じゃらん や 楽天トラベル だけで販売していても、海外から予約はまず入りません。(楽天が最近インバウンド向けサイトを構築して売り出していますが、まだまだ認知度は低いと言わざるを得ません)

主要な海外OTAは、Booking.com、Agoda、Expedia、Hostelworld、AirBnB ぐらいでしょう。これらのOTAサイトに対し販売準備を行い、料金と部屋とベッドの在庫を日々調整をするという手間が発生します。

当然、チャンネルマネージャー/サイトコントローラーを利用して一括管理するということになろうかと思いますが、各OTAでの初期設定の準備、そして、予約が入った時の対応(メッセージ送信等)には、適宜に対応しなければなりません。

それぞれのOTAは、それぞれの管理画面がありその機能性、操作性は全く個別に異なります。多ければ多いほど多様な外国人ゲストを対象とでき間口は広がりますが、その維持管理には手間がかかります。

予約からチェックイン、そして滞在中の対応

先のとおり、OTAからの予約時の対応においてももちろん英語で対応しなければなりませんが、チェックインに来た海外からの外国人ゲストをお出迎えし、館内の説明をするのももちろん英語で応じなければなりません。滞在中にお勧めする観光スポットや飲食店の説明も英語対応が求められるわけですから、英語のできるスタッフを配備しなければならないことは自明の通りです。

館内表示の多言語化

館内に当たり前のように日本語で表示している案内、サインなども英語で記載してあげなければ、海外のお客様には理解できません。今や翻訳アプリや翻訳ソフトなどを容易に用いることができるので、英語で文言を作成することはそれほど難しいことではないと思いますが、日本語との文字のバランス、どう目立たせるのか、英語圏の人に実際伝わる自然な英語なのか、英語がネイティブではない外国人にもちゃんと伝わる文面なのか、、この辺のことも総合的に考えて館内表示を作成しなければなりませんね。

おそらく翻訳ソフト等で翻訳されたであろう英語がネイティブからみればとても可笑しい英語となっているケースは多々散見します。伝わる英語であるという事と、自然な英語であるということの乖離は小さくありません。

また、館内の案内には大きくわけて2種類あります。一つは必ず守ってほしい注意事項、目立たせて注意喚起したいもの、もう一つは「知って得する」程度の案内、宣伝的な広告など外国人ゲストに知ってもらうことが必須要件ではないものです。
前者の場合、英語圏でない人に英語だけで記載しても視認されにくくなりますので、内容によっては多言語化が必要となりえます。

なんでもかんでも多言語化してしまうと館内の雰囲気を乱すことになりますので、何をどこに、どの言語で表示するのか、、ここがポイントとなります。

日本人ゲストとの軋轢

ホテルや旅館と違って、ゲストハウス(ホステル)は、共有設備が多くなります。シャワー、洗面、トイレが個室についていなくて、共用の設備を宿泊者全体で共有することは、ゲストハウスの最たる特徴であるといっても過言ではありません。

設備を共有する上で日本人と外国人とでは利用の仕方、マナー、常識が異なるということを「軋轢」と表現しましたが、具体的にはいろいろあって(ここがポイント)、軋轢をいかに生まないようにするのか、軽減させるのか、ここがゲストハウス運営のノウハウといっても良いでしょう。

 

インバウンド需要をどう取り込むのか

『インバウンド』と一括りには語れない! 世界各国による違いにどう対応するか?

「インバウンド需要!」と巷間もてはやされて久しいですが、世界は広いんです。日本以外=インバウンドと簡単に一括りに考えて単純に対応できるものではありません。言語、文化、風習は国や地域によって千差万別です。かといって、全ての国の違いに対し委細個別に対処、対応を変えるような手間暇をかけるわけにはいきませんね。

大別して、ヨーロッパ、北米・中米・南米、東アジア(中国・韓国)、オセアニア(オーストラリア・ニュージーランド)の5つぐらいに分ければ、それぞれに特徴が見出され、その特徴に応じた販売の仕方、滞在を受け入れるにあたっての対処を準備しておくことができるでしょう。

どの地域の人がどんな予約サイト(OTA)をよく使うのか、、これについては顕著な傾向があります。

英語がどれほど通じるのか? (国による違い)

英語を母国語とせず英語を話す人の人口は、11億人というデータがあります。英語を母国語とせずとも英語をそれなりに流暢に話す外国人はとても多いです。流暢でなくても旅行会話として、最低限の英語を話す人は、もっと多いでしょう。つまり、インバウンド対応というのは、ほぼ同義的に英語対応をすると言って過言ではないでしょう。以下に私の経験から各国の英語レベルについてまとめてみました。
※記載のない国は、ゲストとして迎えることがほとんどないと思ってよいでしょう。

● 英語ネイティブ圏、またはほぼネイティブで話す国:
イギリス、アイルランド、ドイツ、スウェーデン、オランダ、スイス、デンマーク、フィンランド、チェコ、イスラエル、ベルギー、南アフリカ、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港、マレーシア、フィリピン、インド

● 旅行英語レベルで無難に英語を話す人が多い国:
フランス、スペイン、イタリア、ポーランド、ハンガリー、ロシア、ブラジル、チリ、アルゼンチン、メキシコ、タイ、韓国、台湾、中国、インドネシア
※韓国、台湾、中国においては、人によってあまり通じない場合、全く通じない場合はある

● 英語はあまり上手ではないが、日本語を勉強していて日本語の方が通じる場合が多い国:
台湾、韓国、ベトナム、中国

● 日本に住んでいる外国人で、日本語を流暢に話す人が多い国:
中国、台湾、韓国、ベトナム、ブラジル

● 親日家が多いイメージの国:
・柔道など格闘技をやってるフランス人
・日本語を勉強している、又はアニメ、ドラマ、漫画等で日本語を習得した台湾人、韓国人、インドネシア人、タイ人、アメリカ人
・仕事や勉学(留学)の為に日本語を習得しているベトナム人、中国人、フィリピン人

それぞれの国、地域の人に対してどのようなサービスを提供すればよいのか?

予約の確認、チェックインまでのお知らせしたいこと、チェックインしてからの館内の説明などは、言葉の問題でほぼクリアすると言ってよいかもしれませんが、これはあくまで最低限のことです。日本人と同様に滞りなく、コミュニケーションをとって、必要最小限の滞在を提供するだけでなく、さらにプラスアルファでどんなサービス(ソフト&ハード)をどんな国や地域の人に提供すれば、より満足度があがるのか・・。これを追求しなければ、各OTAで評価はあがりません。

これこそが経験から得たノウハウそのものではないかと思います。

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